ギャラリーから出ました
大地の家
「自然と合一した空間」を目指して
敷地は採石場から車で15分程の住宅地。
南側接道で、北側には隣地の緑地帯があり、小学校への「視線の抜け」が特徴的である。この「視線の抜け」を活かすには、日本の建築空間が作り出してきた「透ける空間」が必要だと考えた。
まずは敷地の中央に中庭を配置し、次に中庭を中心に「外の間」〜「半外の間」〜「半内の間」〜「内の間」を時計回りに配置した。それぞれの間は、造園から徐々に建築に移行していく「透ける空間」で、街並みから徐々に住宅に移行していく構成になっている。特に「半外の間」と「半内の間」は曖昧な領域を作り出し、「造園と建築を緩やかに繋ぐ」という重要な役割を担っている。
素材は造園と建築が、より緩やかに繋がっていくよう生命観溢れる「荒々しい」素材を選定した。また造園と建築が接する部分は「自然との境界が無い」かのように感じられるよう、簡素な納まりを「緻密に施工」することが必要であった。詳細図をたくさん描くのではなく、有り合わせの素材を用い、その場で試行錯誤しながら作る「職人のエネルギー」に身を委ねることを心掛けた。
造園と建築を繋ぐ石のベンチに腰掛けると「優しい木漏れ日」と「柔らかな翳」が注ぎ込む。
品やかに枝葉がそよぎ、水鉢に訪れた鳥たちが囀り、樹木が花を咲かせる風景。
すべてが自己の身体感覚に溶け込んでいく「自然と合一した空間」
論理的に思考しただけでは成し得ない、五感を通じて得られた瑞々しい空間の再生が必要な時代であろうと考えている。

石都・岡崎市
採石場
計画地
