京都精華大学の作品講評会に参加するために、当日京都入りする予定でしたが、雪の影響で電車に影響が出るかもしれないと判断し、前乗りしました。そこで来年から茶室の設計が始まることもあり、曼殊院門跡「八窓軒茶室」を拝観しました。
「八窓軒茶室」は良尚法親王の識見、創意によるところ多く、草庵式の茶室として造営されました。
茶室の名の通り8つの窓、つまり「八窓」で構成されていて、これは仏教の「八相成道(はっそうじょうどう)」を表現したもの(お釈迦様の生涯における重大な事柄を八つの場面に分けて説いたもの)として、ひとつの世界観を建築に落とし込んで表しています。8つの窓はそれぞれ意味があるのですが、中でも「虹窓」という躙口の右手にある窓が印象的でした。この窓は光の回折現象が応用されていて、季節や時刻による外界の色の変化によって様々な色彩が障子に現れるよう意図されています。
また内部は横長に三畳敷き、台目構えの点前座をつけた「三畳台目」の間取りで、幽玄な沈潜した雰囲気を醸し出していました。
それは烏賊の墨を使ったのではないかと伝えられている黒い土壁が大きく作用しているのですが、驚くべきはこの黒い土壁、外の光に直接照らされる場所だけ施されているのです。直接光の当たらない壁は、普通の藁を散らした土壁なのです。
ひょっとすると亭主からの視線と、客人からの視線を配慮した壁の構成だったかもしれません。
重要文化財建造物に指定されている為に写真撮影できませんでしたが、しっかりと素晴らしい高密度な空間を身体感覚に落とし込んできました。
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