京都精華大学の作品講評会に参加するために、当日京都入りする予定でしたが、雪の影響で電車に影響が出るかもしれないと判断し、前乗りしました。そこで来年から茶室の設計が始まることもあり、曼殊院門跡「八窓軒茶室」を拝観しました。




「八窓軒茶室」は良尚法親王の識見、創意によるところ多く、草庵式の茶室として造営されました。

茶室の名の通り8つの窓、つまり「八窓」で構成されていて、これは仏教の「八相成道(はっそうじょうどう)」を表現したもの(お釈迦様の生涯における重大な事柄を八つの場面に分けて説いたもの)として、ひとつの世界観を建築に落とし込んで表しています。8つの窓はそれぞれ意味があるのですが、中でも「虹窓」という躙口の右手にある窓が印象的でした。この窓は光の回折現象が応用されていて、季節や時刻による外界の色の変化によって様々な色彩が障子に現れるよう意図されています。



また内部は横長に三畳敷き、台目構えの点前座をつけた「三畳台目」の間取りで、幽玄な沈潜した雰囲気を醸し出していました。

それは烏賊の墨を使ったのではないかと伝えられている黒い土壁が大きく作用しているのですが、驚くべきはこの黒い土壁、外の光に直接照らされる場所だけ施されているのです。直接光の当たらない壁は、普通の藁を散らした土壁なのです。

ひょっとすると亭主からの視線と、客人からの視線を配慮した壁の構成だったかもしれません。


重要文化財建造物に指定されている為に写真撮影できませんでしたが、しっかりと素晴らしい高密度な空間を身体感覚に落とし込んできました。

モダンリビング創刊70周年記念連載「建築家に訊く、これからの住居」の最終回にて、編集部から取材を受け、インタビュー記事を掲載いただきました。「不便さと利便性の共存」をテーマにしてお話ししました。



また「これからの住宅に必要な7つのキーワード」の事例にて「大地の家」も掲載いただきましたので合わせてご高覧いただけますと幸いです。

https://modernliving.jp/shimizu/ml260_sustainable_modernliving_20211214

京都鴨川建築塾は「住宅建築」の元編集長 植久哲男さんを塾長として、様々な建築要素を学ぶ、座学を中心とした講義を行う塾であります。今回、横内敏人先生からご紹介いただき第18期「京都鴨川建築塾」講師として、西村工芸の西村さんと共に登壇する機会をいただきました。


そして12月度は横内先生と京都鴨川建築塾のご好意で、特別に「公開講座」となりました。

https://www.yokouchi-t.com/weblog/detail.php?id=1180

その為、当日はたくさんの方にご参加いただきました。


お話をいただいた際には講義内容をどのように構成するか、とても悩んだのですが、千利休の教え「守・破・離」(しゅはり)を軸に講義を展開することに決めました。


「規矩作法 守り尽くして 破るとも 離るるとても もとを忘るな」

 守破離とは、物事を習得する上での段階を三つに分けた言葉


「守」 師匠の教えを正確かつ忠実に守り基本の作法、礼法、技法を身に付ける学びの段階

「破」 それまで身に付けた技や形をさらに洗練させ、自己の個性を創造する段階

「離」 さらに前進させ、自らの新しい独自の道を確立させる最終段階


私自身のこれまでの歩みに合わせて「守」「破」を説明し、そして今後「離」 を目指していきたいというお話をしました。

お蔭様で、今まで考えてきたことを俯瞰的に見つめ直すことができ、とても成長できたように感じます。



また急遽、横内先生が「大地の家」に関する考察スライドをご用意してくださいました。

その中で私が影響を受けた建築家アルヴァ・アアルトやルイス・カーンの影響を鋭く指摘くださっただけでなく、20年前に訪れた巨木が寺院を覆い尽くすカンボジアの遺跡群への類似性を指摘くださいました。それは私が意識的に表現はしていなかったものの、深く心に残る風景だった為に潜在的に追い求めていたのだろうと気付かされました。

それ以外にも「縄文的、ピクチャレスク、ロマン派の情念、反アカデミズム」などのキーワードで語ってくださいました。

そのような流れの末、最終的には「千利休」が一番近しい表現者だったのではないかという結論を投げ掛けてくださいました。奇跡的に私が準備していた講義の構成「守・破・離」とシンクロし、鳥肌が立つ展開でした。

とても視野の広い考察で圧倒されましたし、このような機会や考察スライドまでご用意いただいた横内先生には感謝の気持ちで一杯です。


そして事前準備やアドバイスをいただきました事務局の皆様にもお礼申し上げたいと思います。また、ご視聴くださった皆様、どうもありがとうございました。